夫に合わせるのはもうやめる
夫の退職から10年経った2021年のある日、天井から雨漏りがした。数年前からところどころガタがきて修理が必要になっていたが、屋根はおおごとだ。業者に相談すると、なんと費用は100万円。それなのに夫はあっさりと承諾し、前金30万円を「すぐにでも振り込みます」と約束。
まあいいか。なんだかんだお金を蓄えている夫が払うのだろうと放っておいた。ところが振込締切期日になって、「お金はお前が出してくれよな。俺は出せないから」と言うのだ。私はガーンと頭と心を打たれた気がした。
まただ。怒りがこみ上げてくる。「私、お金なんてない」。口論すると胃痛がひどくなっていやなのだ。だから夫を怒らせないように、いつもいつも私は夫に合わせてきた。
しかしこの日、「通帳を見せろ。家計簿を見せろ。俺の金をどうしたんだ! 騙したのか!」と怒鳴る夫に、私はついに耐えられなくなった。そして、ハッと気がついた。もう終わりでいいんじゃないか、と。
夫は定年以降、仕事もしていないのに家のことも自分のことも私にやらせる。手を伸ばせば取れるものさえ取ろうとしない。「そのくらいやってよ」と繰り返しても聞かない。
電子レンジ、IH調理器、洗濯機を使えないのはもちろん、お風呂に湯を溜めることすらできない。唯一やってくれるゴミ出しも、何度説明しても分別を覚えないから、私がまとめたものを運搬するだけだ。