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放送作家・コラムニストとして、数多くの著名人にインタビューし、コメンテーターとして活躍している山田美保子さん。小さいころは引っ込み思案で話すことも苦手だったそう。そんな山田さんを変えたのは何だったのか。さまざまな出会いや、出会った人のアドバイスを通じて、今の自分があるという山田さんが、自分が楽になるコミュニケーション術を紹介する新連載。第47回は「野口五郎さんのこと」です。

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客席は「うっとり」

「グータッチをしてくださって……」と告げた途端、涙声になってしまった野口五郎さんの姿に、もらい泣きをしてしまいました。

2月18日と19日、「東京オペラシティ」で行われた『GORO NOGUCHI CONCERT TOUR 2024 Follow Your heart~こころのままに~』のタイトルどおり、野口五郎さんが“こころのまま”を歌い上げた2時間余り。

私は18日のステージを観る機会に恵まれました。

今回、初めて「東京オペラシティ」でコンサートを開いた五郎さんのバックを務めたのは「N響メンバーによるゲートウェイ・ゾリステン with GORO’S BAND」。

元N響第2ヴァイオリン首席の大林修子さんをはじめ、小林玉紀さん、嶋田慶子さん、大塚百合菜さん、御法川雄矢さん、キール歌劇場管弦楽団副主席奏者の松崎敦子さん、堀沙也香さん、渡邊ゆかりさん、本間達朗さんの9名がN響ゲートウェイ・ゾリステンメンバーです。

ホールの特性や、いつもとは異なるバックの布陣に、長年、五郎さんを応援し続けてこられたファンの皆さんも最初はやや身構えていらっしゃるようにお見受けしました。

でも、ますます磨きがかかった五郎さんの歌声は、高音も低音も存分に伸び渡り、年齢ならではの色気や艶を帯びて、「東京オペラシティ」のホールにも、N響の皆さんの演奏にもピタリとハマっています。やがて客席は「うっとり」という言葉が似合う空間へ昇華していったのです。