ポケットミュージカルス
余談になりますが、笠置さん、江利さん、そしてそのご両親も大変ご縁の深かった吉本興業さんですが、私自身10歳のころ、初めて10日間の長期舞台に立たせてもらったのが吉本興業さんの仕切る「なんば花月」でした。
花月では、漫才、落語、新喜劇などを上演する合間に生バンドが入る「ポケットミュージカルス」という定番の出し物がありました。
どのような経緯で、子どもの私がその興行に出演し、当時大人気の桂文珍さんや大勢の役者さん達に混じって「ポケットミュージカルス」で歌を歌う運びになったのか、今以ても分からないのですが、1日2回から3回の舞台を10日間、子どもなりに努めておりました。
その私と同じ歳の頃、江利さんが浅草の舞台で笠置さんの『東京ブギウギ』を歌っていたという出来事は、DNA以前の「巡り合わせ」といったようなものなのかもしれませんが…。
このような理由(わけ)で、江利チエミさんの体を通して、笠置シヅ子さんやエラ・フィッツジェラルドのDNAが脈々と私の歌の中にも繋がって生きていると思う次第です。
亡くなられて既に39年経つ今も、自分の歌の中に生き続ける笠置シヅ子さんのDNA。
その奇跡を絶やすことなく歌っていたいと、より強く思うようになりました。