シュビドゥンドゥンが出てこない
久保 私、いま調べてることが検索しても出てこなくて、気になってて。小中高のどこかで国語の教科書に載ってた詩で「シュビドゥンドゥンの子シュビドゥンドゥンはシュビドゥンドゥンでシュビドゥンドゥンの娘はシュビドゥンドゥンドゥンドゥンで」という言葉遊びの詩があって。
──どこかで聞いたことがあるような。
久保 私、それを筒井康隆の詩だと覚えてたんですね。それを久しぶりに思い出して、どの本に載ってたか調べてたんですよ。教科書に載ってたくらいだから、すぐわかるだろうと思って。でも「筒井康隆 シュビドゥンドゥン」や「シュビドゥンドゥン」で検索しても出てこない。山下洋輔とコラボで「ラ・シュビドゥンドゥン」を歌うってやつが出てくるんだけど、それは近年のやつなんですよ。教科書に載ってたシュビドゥンドゥンの詩の情報がどこにもなくて、それで図書館にも行ったんです。
──最初の話で図書館に行ってたのって、シュビドゥンドゥン目的で?
久保 そう。でもその詩は全然出てこなくて(*)。
*補足すると、レファレンスサービスがある図書館では、司書の方が調べてくれます。
能町 ちょっと調べたくなるな……。たしかに歌ってるやつは出てきました。2017年の「ラ・シュビドゥンドゥン」。
久保 その曲は違うんだよ。でもその曲が出る前の筒井康隆のスレッドログに「シュビドゥンドゥン筒井康隆 第●スレッド」みたいなのがあったから……。やっぱり筒井康隆はシュビドゥンドゥン関連で過去になにか代表作があったんだと思う。でも全然そこがわからなくて。
能町 気になるなあ。
──というか、それ調べるために図書館に行ったのすごいですね。ネットで出てこなくて終わりにせず、ちゃんと足で調べてる。
久保 調べもののために図書館行こうと思ったの初めてだったんだよ。それで「よし調べるぞ!」と思ったら、文句つけおじさんとバーンおじさんに挟まれてぴえん、みたいな(笑)。
能町 せっかく調べに行ったのに、そんなことになっちゃったんだ。かわいそうに。
久保 まあ結局『残像に口紅を』(*)を借りて帰ったんだけど。
*筒井康隆の1989年発表の小説。2021年、人気TikTokerの紹介により30年以上の時をへて爆発的ヒットを記録、緊急増刷された。
能町 私もそういうのはすごく調べたくなります。
久保 でも調べ物で図書館行くの、ちょっと楽しかったんですよ。
ヒャダ わかる。それはありますよね。
能町 久保さん、見つけました。
久保 えっ!?
ヒャダ 嘘でしょ?
能町 多分、これじゃないですか?(スマホの画面を見せる。出典元の本の中身の写真がある)
久保 あった〜〜〜〜!!
ヒャダ 検索能力!
能町 私、検索は得意なんですよ。
久保 どうやって調べたの?
能町 ツイッターで「シュビドゥンドゥン」で2016年以前を調べました。
──さすが!
久保 これか。筒井康隆の『バブリング創世記』。じゃあ……朗読していいですか?
ヒャダ お願いします。
久保 「ドンドンはドンドコの父なり。ドンドンの子ドンドコ、ドンドコドンを生み、ドンドコドン、ドコドンドンとドンタカタを生む。ドンタカタ、ドカタンタンを生めり。ドンタカタ、ドカタンタンを生みしのち四百六年生きながらえて多くの子を生めり。ドカタンタン、ドカドカとドカシャバを生み、ドカシャバ、シャバドスを生み、シャバドス、シャバドビとシャバドビアを生む。シャバドビア、シャバダを生み、シャバダ、シュバラとシュビラを生む。シュビラ、シュビダを生み、シュビダ、シュビドゥバを生み、シュビドゥバ、シュビドゥンドゥンドゥンを生めり。シュビドゥバの子シュビドゥンドゥンドゥン、ズビドゥンドゥンを生みしのち二百五十二年生きながらえて多くの子を生めり」。これだ〜〜〜!!
ヒャダ おめでとうございま〜す!
能町 おめでとうございます!
久保 やった! やっと出会えた!
ヒャダ お気持ちわかります。昔の記憶にあるものが調べても出てこないと、砂漠に落ちたような気になるんですよね。インターネットで見つからないんだ……って。
能町 いまどきインターネットで見つからないって、あんまりないからね……え、久保さん泣いてる!?
久保 泣いた……(笑)。
一同 (笑)
ヒャダ き〜みは〜少し〜♪
久保 泣いた〜♪
──ずっと気になってて、ずっと調べても出てこなかったものが出てきたら、ここまでカタルシスがあるんですね。
久保 今日は志村に泣かされ。
能町 シュビドゥンドゥンに泣かされ。
久保 シュビドゥンドゥンに、出会った〜。
(記憶の話、次回に続きます)