お互いの採点結果は

津村が芥川賞を受賞した年に、二人はそろってテレビ出演した。

夫婦で講演はしないなどのルールを設けていた二人が、そろってテレビ出演したのはこのときが最初で最後だ。芥川賞受賞の翌朝で、『木島則夫モーニングショー』(NETテレビ、現テレビ朝日)という番組だった。

奥さんとしての津村の採点をきかれ、

「100点。申し分ありません」

と吉村は答えた。一方の津村は、

「吉村は文学者としては100点だけど、夫としては50点くらいかしら」

と言っている。

随筆「別れない理由」でも、津村はタイトルを「五分五分」とし、自分が辛抱していること以上に相手も耐えていることが多いはずで、小説を書かせるという約束を守ってくれているだけでも希少価値だと結んだ。

作家の津村節子さん(写真提供:新潮社)