新しい音楽創作の場

10月13日(火曜)には「私は魔女よ」が放映され、昭和30年代の喜劇映画に外国人役で出演していたジョージ・ルイカー、服部リズム・シスターズが共演。

11月10日(火曜)は「ミュージカルショウ セントルイスの娘」と、この枠は3年間続く人気番組だった。

シヅ子が、実際にどんなナンバーを歌ったのかは不明だが「タンゴと娘」(54年2月9日)、「恋はほんまに楽しいわ」(3月9日)、「歌は翼にのって」(5月25日)、「お祭り騒ぎが大好きよ」(木曜・7月8日)、「君忘れじの河」(8月12日)、「陽気なママさん」(9月9日・10月2日)、「サンタクロースの孫娘」(土曜・12月11日)とタイトルだけでも楽しい。

服部にとってもテレビのミュージカル番組は、新しい音楽創作の場になっていたのだろう。

この番組は、放送時間を移動しながら、1955(昭和30)年も続いて「マンゴうりの娘」(5月11日)、「カナリヤ姫の結婚」(6月8日)、「これは失礼番号違い」(8月17日)、「陽気なサンバ」(9月7日)と毎月オンエアされている。

この頃になると、演奏は東京マンボオーケストラ、少女歌手・宮城まり子も出演。

益田隆舞踊団などダンス・グループも加わり、よりバラエティに富んだものとなっている。

記録によれば「ミュージカルショウ」へのシヅ子の出演は、1955年12月28日(水曜)「おばあちゃんと孫娘」まで続いている。

出演はバレエダンサーの近藤玲子、ハリウッド帰りの中村哲、日劇「ジャズ・カルメン」(47年)でホセを演じた石井亀次郎と、ミュージカル番組らしいキャスティングである。

テレビ草創期、笠置シヅ子と服部良一が、3年に渡って作ってきたテレビミュージカルは、これまでの笠置シヅ子と服部良一研究ではノーマークだった。

遅れてきた世代にとっては興味津々である。

※本稿は、『笠置シヅ子ブギウギ伝説』(興陽館)の一部を再編集したものです。


笠置シヅ子ブギウギ伝説』(著:佐藤利明/興陽館)

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昭和の大スター、笠置シヅ子評伝の決定版!半生のストーリー。

「笠置シヅ子とその時代」とはなんだったのか。
歌が大好きな風呂屋の少女は、やがて「ブギの女王」として一世を風靡していく。彼女の半生を、昭和のエンタテインメント史とともにたどる。