「原磯さんは、町内会でも発言力がおありだそうですね」
「町内会なんてね、誰も本気でやらないんですよ。だから、私のような者が頑張らないと……」
「すばらしいお考えですね」
「いや、地域のためを思えば、当然のことだと思います」
「西量寺の檀家総代もやりたいとおっしゃっているようですね」
この阿岐本の言葉に、大木が反応した。目を丸くして原磯を見た。
「え……。西量寺の檀家総代? そいつは初耳だね」
原磯が言った。
「ああ……、いや、そんなことを言ったこともあったかもしれない……」
おや、急に歯切れが悪くなったな。
もしかしたら、何かをごまかそうとしているのかもしれない。
日村はそんなことを思い、原磯を観察していた。