ピンホール効果

実は緑内障の目薬を使うと、老眼が改善するのです。そのメカニズムは次のようになります。

眼科で検査を受けるとき、瞳を開く目薬を点された経験があると思います。強い光を当てても瞳が閉じないようにするためです。

これとは逆に、瞳を閉じる目薬もあります。すると角膜(黒目)と虹彩(茶目)の根元が交わる部分(隅角)から目の中を循環している水(房水)が流れるようになり、眼圧が下がります。

緑内障の治療薬は基本的に眼圧を下げる薬ですが、このタイプの目薬は瞳を閉じることによって、眼圧を下げるわけです。

針で開けた小さい穴をのぞいて見ると、焦点が広がるため、老眼の人は見やすくなります。これをピンホール効果といいます。

『名医が教える 新しい目のトリセツ』(著:平松類/エクスナレッジ)

このタイプの緑内障の目薬を点すと、ピンホール効果が得られるため、老眼も改善するというわけです。

おそらく日本でも、将来的には老眼に処方されるようになるでしょう。ただしそれほど期待するほどのものではありません。現時点では、老眼の症状が今より少しよくなるといった程度です。根本的な解決にはならないのです。