教養や美意識を身につけるための家庭教師
高い教養を備えていることがその人の魅力に直結していたことを考えると、中宮の父である道長が、娘のために、紫式部のような女性を抜擢したことにも合点がいきます。
中宮付きの女房というと、こまごまとした身の回りのお世話をする人を思い浮かべるかもしれませんが、紫式部の仕事はそうしたことではなく、漢文学について進講するなど、教養や学識を高める手伝いをしていたようです。
いわば、教養や美意識を身につけるための家庭教師といったところ。祖父、父ともに学者であり、歌人・詩人でもあるという環境で育ち、幼少期から学才を発揮していた紫式部には、うってつけの仕事だったのではないでしょうか。
とはいえ紫式部自身は、当初、宮仕えに嫌悪感を抱いていたようです。このあたり、ドラマ『光る君へ』では、どのように描かれるのでしょうか。愛しい道長のために、渋々大役を引き受けるのか――。今後の展開が楽しみです。