(写真提供:Photo AC)

大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。第十話は「月夜の陰謀」。藤原兼家は花山天皇を退位、出家させるクーデター計画を道長らに伝える。兼家の命に従い道兼らが動き出すなか、道長はまひろに手紙を――といった話が展開しました。そこで今回、日本史学者の榎村寛之さんに、クーデター事件の謎について解説してもらいました。

花山天皇の退位・出家は無血の政変

第十話で藤原兼家の策にはまり、元慶寺で出家することになった花山天皇。翌朝には懐仁親王が即位し、一条天皇が誕生することとなりました。

ある晩、突然王様が消えて、翌日にお坊さんの姿で発見されたときには、次の王様が位に就いていた…。

考えてみたら面白い事件です。確かに政変なのですが、どこか間抜けな話でもあります。

もしかすると視聴者の皆さんは思ったかもしれません。

「あくまでドラマでしょ?」「誰も止めなかったの?」「宮廷警備は?」「門衛は?」「どんな警備体制だったの?」「王様にはSPはいなかったの?」

…などと。