子供のときに体験した「フランスの味」を思い出してみる

叔母が作ってくれる夕食も、庭で穫れた野菜から始まることが多い。だから子供のように勢いよく手が皿にのびてしまう。

生ハムや牡蠣など生で食べるものを買ってくれば、一番初めにそれが出てくる。そしてグラタンや煮込み料理など、火をよく通した方が美味しい食材で作ったメインの料理があり、チーズかフルーツが続いて、最後にデザート。

レストランのフルコースと同様に順番に食べてはいるが、仰々しい雰囲気はなく、とても自然な流れで一つ一つを大事に食べていることに気づく。

高級店では、これでもかと趣向を凝らして作った料理が一品一品、客を驚かそうとばかりに出てくるから、なんとなく「ゴージャスな食事」という印象になるけれど、必ずしもそれはフランス料理の真髄ではない。本場のフルコースは「全ての食材をどうやってベストの形で食べるか」というコンセプトから生まれている。

子供の私が感じた、日本のフレンチと本場のフレンチの違いも、もしかすると、順番に出てくるとか、見た目が凝っているとか、そういうことではなかったのかもしれない。そこで改めて記憶をたどってみようと、子供のときに体験した「フランスの味」というものを、まずは思い出してみることにした。