尊富士の偉業

大銀杏の方々はどうしたかというと、尊富士の立ち合いからのスピードと圧力がすごくて、連日吹っ飛ばされていた。

尊富士は11連勝したが、12日目に大関・豊昇龍が気の強さと根性と運動神経を活かして、小手投げで破った。ところが豊昇龍は14日目にこの気の強さが裏目に出たようで、新大関・琴ノ若に豪快に上手投げをうつのに失敗して自ら呼び込んでしまい、自滅するように負けて4敗となり、優勝争いから脱落した。

13日目に勝ち越した朝乃山は、14日目に得意の右四つにもっていき、尊富士を寄り切った。14日目に尊富士が勝つか、豊昇龍と大の里が負ければ、尊富士の歴史的な初優勝となり、負けた力士の四股名が残る。

どの力士も尊富士と対戦するのは嫌ではないかと気の毒に思っていたが、朝乃山はお見事だった。いつもこの力を披露していただきたい。

朝乃山に大銀杏の意地を見せて欲しいと思う一方で、尊富士は新入幕での初優勝という110年ぶりの記録だけでなく、大相撲が15日制に定着した1949年(昭和24年)以来、新入幕の11連勝は昭和の大横綱・大鵬と並ぶ最長記録であるなどの新記録がある。

というわけで、14日目のNHKテレビの実況の佐藤洋之アナウンサーによる美声と高速活舌の尊富士の偉業を称える叫びを聞きたかった。さらに、正面解説の芝田山親方(元横綱・大乃国)の感動のお言葉も拝聴したかった。