良い師匠と兄弟子
そして、取組の間にはさむ千秋楽恒例の幕下、十両、幕内の来場所の番付予想は、親方とアナウンサーの攻防が見ものというより聞きものだ。
実況の三瓶宏志アナウンサーは画面に映し出される各力士の成績から番付予想を聞くが、伊勢ケ濱親方は「いろんな見方があるので、それは審判部が判断しますので」と答える。しかし、三瓶アナウンサーはひるまない。伊勢ケ濱親方は「さっき言ったように、いろんな見方があるので」と言っても突っ込んで聞く。芝田山親方(元横綱・大乃国)も以前に、千秋楽での予想のご意見攻めには困っていた。
尊富士に話をもどすが、伊勢ケ濱部屋には横綱・照ノ富士がいる。今場所の放送の中で、十両優勝してから尊富士が少し稽古をしない時があり、照ノ富士が「十両優勝したから何だというのだ」と、もっと上を目指せと激励した話がでた。NHKの『サンデースポーツ』に優勝力士として登場した尊富士は、照ノ富士に「(千秋楽に)出たら記憶に残るぞ」と言われたことを話していた。尊富士は、良い師匠と兄弟子に恵まれている。
さて、以前から「荒れる春場所」と言われるが、上手投げとか肩透かしとかの技ではなく、前進力と圧力を誇る2力士が技能賞を獲得し、秒速何メートルを競うような嵐の春場所だった。
1横綱4大関が揃い、豪華に始まった春場所。しかし、千秋楽の土俵に立ったのは3大関のみ。照ノ富士は腰椎椎間板症で7日目から休場、カド番の大関・貴景勝は13日目に勝ち越したが、14日目から右の大胸筋と頸椎を痛めて休場。大関・豊昇龍は11勝4敗だが14日目に優勝争いから脱落。