貴重な2人の個性
千秋楽で新大関・琴ノ若は、不調の大関・霧島との攻防の末に上手投げに敗れて10勝5敗。霧島は5勝10敗だ。この一番は琴ノ若に軍配があがったが、どう見ても霧島が勝っていて、物言いがつき、立行司・木村庄之助の軍配差し違いだった。
尊富士の優勝の興奮で紛れてしまうような結びの一番であって欲しくない。
稽古をしたことがなくても、研究したことがなくても、「はい、どっからでもかかってきなさいよ」という横綱と大関であって欲しい。
そんな中で元大関の前頭10枚目・正代と前頭11枚目・佐田の海が千秋楽で勝ち越した。私は立ち腰のまま、突然、目覚めたような前進力を発揮する正代、そして勝っても負けても己の相撲道を極めようとしているように見える佐田の海を応援している。
疾風怒涛の連勝はしていないけれど、相撲観戦年齢を重ねるごとに、この2人の個性が貴重に思えるようになってきた。