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「メタ認知」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「メタ」とは「高次の」という意味で、つまり認知(記憶、学習、思考など)を、高い視点からさらに認知することを指します。三宮真智子大阪大学・鳴門教育大学名誉教授によれば「メタ認知は自分の頭の中にいて、冷静で客観的な判断をしてくれる<もうひとりの自分>。活用次第で頭の使い方がグッとよくなる」だそう。先生の著書『メタ認知』をもとにした本連載で、あなたの脳のパフォーマンスを最大限に発揮させる方法を伝授します!

いつも諦めの気持ちが先に立つ中学生の話

ある成績のよくない中学生がいました。

彼は英語も苦手で、簡単な英単語も積極的に覚えようとしません。自分はどうせ勉強ができないのだという諦めの気持ちが、いつも先に立つのです。補習塾に通っていたのですが、やる気も今ひとつという状態で、なかなか成果が上がりません。

ある時、塾の講師が、彼にも答えられそうな問題を出しました。

「『始める』は英語で何て言う?」

中学生は、間髪を入れずに答えます。

「わかりません」

講師は、さらに易しい問題を出します。

「それじゃ、『飲む』は英語で?」

再び、中学生からは、同じ答が返ってきます。

「わかりません」