歩いている自分を飽きさせない
徒歩データを記録することで、ウォーキングを行うマインドを持つことができた。次の問題は自分を飽きさせないことである。私と同じく、運動嫌い民にとって大きな難関とは“継続”だ。これらを打破するために考えたのは「コースを決めない」。
近所には一周すると約2キロとなる運動専用の公園があるので、ここを歩く基本コースにする。が、毎日同じコースを歩いていると飽きてくる。そんなときはイヤフォンでポッドキャストを聴く。それから公園で私と同じように運動している人たちの人間観察をする。週末は一日数万人が訪れるという巨大パークなので、何かと観察による発見はあった。その中で強く印象に残ったのは、走る人と歩く人の違いだ。
公園の一周はジョギング、サイクリング、ウォーキングの3種に分かれている。週末になるとジョギングコースには、セミプロと思しき男女混合のランナーたちが大集結。皆、筋骨隆々の手足を動かして走っている。
「××さんが飲んでいたプロテイン、良かったですよ!」
「お、飲まれました? そういえばサプリは試しました?」
ランナー同士の会話も意識が高かった。走りながら息を切らさずに話すだけで尊敬に値するのに、会話にまで健康情報が溢れているとは、恐れ入った。
一方、私のように脂肪がつきまくった体型の人々は、ウォーキングコースをひたすら歩いている。ご近所同士なのか、2〜3人の横並びで、同性中高年同士のパターンが多い。
「この間の検査のコレステロールの数値も悪くってよォ」
「あ、この間紹介したホルモン焼き屋さん、行かれました?」
「行きました! どうです? この後とか」
「いいですねえ」
ちなみにこちらは、とても共感性を覚えるおじさん同士の会話だった。ジョギングコースを選ぶ人たちとはそもそもの体の作り、健康に対する価値感が、私たちとは全く違うと思い知る。ただ自分がランナーを目指して、走り始めることだけは絶対にない。とにかく歩くことをサボらず、公園にいるだけでも「偉い」と自分を褒めることにしている。無理は禁物だ。
そして次の関門は、毎日同じ公園のコースに飽きてくること。それならばと自分の勘に任せて、近所の4キロ圏内をひたすら歩くようにした。
「こんなところにパン屋ができていたのか〜」
と、女性雑誌の記事みたいだけど、近所の発見も楽しい。ちょっとした買い物も二駅先までなら往復を歩くようにすると、見えてくる景色も増えてさらに楽しい。ただ、新規店の発見が多すぎて、パン、フライ、たこ焼き……と買い歩きをしているうちに、我が家のエンゲル係数が増加していたことはご愛嬌にしておく。