穏やかな着地の助け

入院してしばらく経ってから、医師から胃瘻(いろう)を造るかとたずねられた。

胃瘻で延命すれば、何年も生きることになるが、それはそれで家族がつらい思いをすることになると医師は説明した。

母の時は人工呼吸器を使った。

心臓マッサージは荒々しい。

家族は部屋の外に出るようにといわれたが、私は拒んだ。

東の空に昇り始めた赤い三日月を見ながら、なおも迷った(写真提供:Photo AC)

その時のことを思い出して、心臓マッサージは、穏やかに着地することにはならないかもしれないが、胃瘻なら穏やかな着地の助けになるかもしれないと思った。