女性たちの「転ばぬ先の杖」
「少しずつでも片付けないと。もう、モノを買うのではなく、片付けないといけない年齢だと感じています。これからは、旅行したり、おいしいものを食べたりするだけにして、あとはシンプルに暮らしたいです」。
モノの所有より体験を重視するという、文枝さんが目指す暮らし方は、「モノ消費からコト消費へ」という現代の価値観とも符合します。その心構えは、こころ豊かな老後を暮らすヒントになりそうです。
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「同居の親の看取りがあるから、自分の老後は後回し」という「家付き娘」は、少なくないでしょう。地方でも東京でも、実家なら月々の住居費は抑えられ、持ち家なら「老後の家」も確保できます。家賃やローンに苦しんでいる単身世帯のシングル女性からすれば羨ましい限りです。
でも、「実家だから老後の家は安泰」とも限りません。親の介護費のため家を売るかもしれませんし、相続できょうだいと揉めるかもしれません。ですから、「家&親付きシングル女性」たちには、住居費が掛からない今のうちに、貯蓄や投資に励むことをお勧めします。
将来何が起きても困らないように、老後に使える資金を増やしておくこと。それが「自分のことは後回し」になっている親孝行なシングル女性たちの「転ばぬ先の杖」になると、モトザワは思います。文枝さんも言った通り、「お金はあっても困りません」から。
◾️本連載をまとめた書籍『『老後の家がありません』(著:元沢賀南子/中央公論新社)』が発売中