「やっと半年前、〈痛いなんて言ってる場合じゃない〉と立ち上がったところなんです。今も落とされた崖下にいるのは変わりませんが、この状況を受け入れられるようになりました」(撮影:浅井佳代子)
テレビやラジオにとどまらず、近年は動画配信や週刊誌連載など活躍の場を広げる上沼恵美子さん。6年前から別居を続ける夫との関係にも、変化があったと言います。(撮影:浅井佳代子 構成:平林理恵 ヘアメイク:河口智子)

表面だけのつき合いはもう必要ない

16歳で初めてプロとして舞台に立ってから、半世紀以上が過ぎました。人生は毎日が闘い、そして選択。何もない日なんてありません。

これは以前『婦人公論』でもお話ししましたが、なかでも衝撃的だったのが、25年続いた冠番組『快傑えみちゃんねる』が2020年に突然終了したことです。人生であんなに傷ついたことはないと思いますね。全力投球でがんばっているところを、ドーンと崖から突き落とされたわけですから。

「痛い痛い」言うて、立ち上がれないまま、膝から流れる血をぼんやり眺め続けました。22年4月頭には『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』も終わってしまって、ああ、私はテレビから淘汰されたんやなって。愛犬のベベだけが私の苦しみを理解してくれました。

でも、ベベは22年4月23日に亡くなってしまったんです。正直、神様はこれ以上の悲しみを与えるのかと思いました。ボーッとしている私を心配して、周りの人が新しい犬を飼うことを勧めてくれてね。それで1年前、豆柴のすももを迎えました。

そしてやっと半年前、「痛いなんて言ってる場合じゃない」と立ち上がったところなんです。今も落とされた崖下にいるのは変わりませんが、この状況を受け入れられるようになりました。