ポイント(3)―構造の「先読み」
(3)は直前で、『ドラゴンボール』が完璧な形で世界に広まった、と説明しているのを受けて、それがどういう結果につながったかを説明している箇所です。
述語動詞のhas led toに注目しましょう。lead to…というのは「…に結びついた」と結果を表現する言い回しですから、「…」の部分には個々のものや人物よりも「何がどうする」という意味内容を持った「出来事」がくるのが自然です。
しかし、toはあくまで前置詞なので、後ろにthat節などを持ってくることはできません。このため、「…」の部分には「意味上の主語+動名詞句」の形が非常によく登場することになります。
こういった知識を生かすと、has led toの時点で後ろに出来事を表す内容がくるのでは、とある程度予想がつくため、it becoming…の部分も戸惑うことなく、スムーズに
it(意味上の主語) becoming(動名詞句)
という分析ができ、「『ドラゴンボール』が世界中で人気になることに結びついた」と解釈できるわけです。
【訳例】
本作は1980年代、1984年に登場し、日本で成長しつつあった漫画やメディア市場に完璧にマッチしていたためにすぐにアニメ化されました。有名なのは『ドラゴンボールZ』で、世界を席巻したアニメの第2部に当たるものです。漫画のほうは今では、21以上の国に持ち込まれ、それぞれの言語に翻訳されています。また、アニメは元々36ヵ国で放送され、完璧な形で世界に広まっていった歴史があります。その結果として、本作品は世界中で人気が出ただけでなく、日本国内外で一大フランチャイズとなっています。現在、長編アニメ映画は17作ほどあり、漫画の売り上げだけでも約1億6000万部に達しています。
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