ラブシーンを下級生が見に来た
安奈 『ベルばら』の舞台で榛名さんとの共演が決まった時は、小さい頃から知っていたせいか、上級生というより「ショーちゃん(榛名さんの愛称)」という感じでした。上級生と下級生の厳しい上下関係もなかったのはよかったですね。榛名さんは包容力があって体が大きくて、見た目のバランスもちょうどよかったと思います。
榛名 気心が知れてるし信頼し合ってるから、お互いに「やりたいようにやろうね」と言って。私は『ベルばら』で、庭園のベンチに座って、ミキちゃんを膝枕しながら「星がキレイだ」とセリフを言うシーンが一番好きなんだけど、舞台袖のカーテンの陰に隠れて下級生が見に来るのよ。
「アンドレとオスカル、どんなラブシーンしてんねやろ!?」って(笑)。それほど仲間たちも興味を持って見ていたのね。
植田先生が「まわりの人をもファンにさせる、興味を持たせる。そうやって内輪で盛り上がるのも大事や」とおっしゃっていたけれども、こういうことかと思いました。皆をワクワクさせる2人だったんだと思います。
安奈 私たちを支えてくださっていた上級生の存在も大きかったですよね。たとえば『ベルばら』でポリニャック伯爵夫人の役をやっていらした神代錦(かみよにしき)さん、私のお父さん・ジャルジェ将軍を演じてくださった沖ゆき子さん。
みなさんすごく上級生で演技が本当にうまくて、包容力がありましたね。そういう素晴らしい方たちがいたからこそ、私たち2人が際立った。
榛名 本当にその通りね。多才な先輩たちがいらしたから作品に厚みが出た。支え、助けていただいたとしみじみ感じます。