ぐっすり眠るのにも体力が必要

私はそれを「年齢のせいだろう」と思いつつも、「体の中で何か変なことが起こっている」という直感めいたものを捨てきれずにいました。

というのも、その3か月くらい前から、寝つきの悪さや眠りの浅さなど、睡眠障害の傾向が出てきていたからです。

そのころは仕事も絶好調。なんの悩みもなく、仕事で十分に体を動かしているので、運動不足でもありません。

不眠症になる要素はないはずなのに、なぜかうまく眠れない……。

結局、病院で2回の検査を経て子宮頸がんのステージ3Cという、ほぼ末期に近い状態になっていることがわかりました。

不正出血や腹痛など、明確な子宮頸がんの症状は何も出ていなかったのに、体は「睡眠障害」という形で私に危険信号を発してくれていたのです。

がん治療のための入院中は、寝ているのか起きているのかわからないくらい、夢か現(うつつ)かの状態をさまよっていました。

睡眠の役割は体を休ませることです。だから病気を治すには、十分な休養=睡眠が必要なわけですよね。

なのにいちばん体を休ませなければいけないときに、体調が悪すぎて満足に眠ることもできないとは、なんということでしょう。

眠れないほど弱り切った私が強く感じたのは、「ぐっすり眠るのにも体力が必要」ということです。

若いときはいくらでも眠れますよね。あれは体力があり余っているからなのではないかと思います。

病院のベッドで満足に眠ることもできなくなった自分を情けないと思いつつ、「退院したら気持ちよく眠れる体をとり戻そう」と心に決めました。