三浦さんに初めてお会いしたのは32年前のこと。ある日、キルトの専門誌を見たという彼女が、私のお店に糸と綿と布を買いにこられたのです。「ご近所に引っ越してきたそうだけど、うちの教室にいらっしゃったらキルトを教えてさしあげるのにね」と、生徒さんたちと冗談を言っていた矢先のことでしたので、本当に驚きました。
やはり最初は「わあ、百恵ちゃんだ!」と思いましたね(笑)。だって、ずっとテレビで見ていた人が目の前にいるのですから。第一印象は、「テレビで見るより細くて幼くて、かわいい印象の方だなあ」というものでした。
その際「キルト作りは初めてで、雑誌を見ながら独学でやっています」と見せてくださったのが、甥御さんへのプレゼントだという作りかけの作品です。私も「次はこうするといいですよ」とアドバイスをしつつ、「わからないことがあったら聞きにきてくださいね」とお伝えしました。
その後、ファーストキルトは無事に完成。甥御さんに差し上げたという報告を受けましたが、なんと次は、夫の友和さんの半纏を縫いたいとおっしゃる。2作目にしては大物ですし、パターンを引くのも非常に難しい。なのに、ご自身で描いてきたと聞いて、本当に驚きました。
夫・友和さんのために2ヵ月で半纏を完成
当時は2人の息子さんも幼く、外出しづらい状況だったこともあってか、半纏はわずか2ヵ月で完成。「三浦友和」という千社札を、すべて細かな刺繍でなさってね。刺すること自体初めてだとおっしゃっていましたけれども、キルトといい刺繍といい、その仕事の丁寧さと集中力の高さには感心させられました。
そんなある日「パッチワークがお好きなようですけど、上手になりたいですか?」とお聞きしたら「はい!」とおっしゃって。ならば基礎からやったほうがいいでしょうと、本格的に指導することになりました。