プライベートでの親交も深いという、加賀まりこさん(右)と内田有紀さん(左)(撮影:浅井佳代子)
プライベートでの親交も深い加賀まりこさんと内田有紀さん。ともに女優として活躍しながらも、この仕事をやめようと思ったこともあると言います。自分の人生を決めるうえで、ふたりが大切にしていることとは(撮影=浅井佳代子 構成=小西恵美子)

<前編よりつづく

女優の道の歩む覚悟を決めた時

加賀 女優をやめようと思ったことは、しょっちゅうある(笑)。日本が高度経済成長期の真っ只中で、みんな上を向いてるのがイヤでね。17歳から20歳まで噓みたいにお金をいただけたから、《普通》に憧れた。

内田 それでフランスに。

加賀 パリに行ったら、生きていくうえで大事なのは、「今夜、誰と食事するか」「今夜、何着ようか」「今夜、誰を口説こうか」だって。そういうフランス人が愛おしかったね。金持ちになりたいタイプは、うんとバカにされていた。で、これが人間の暮らしだと思ったの。

内田 当時の上昇志向の日本と違って。

加賀 アメリカ人やカナダ人と一緒にフランス語の授業を受けたの。発音もすぐできたから覚えるのが楽しかった。まだ日本に入っていないフランスのブランドを紹介するライセンスの勉強をしてたのよ。

パリではイヴ・サンローランさんのお家の近くに住んでいて、遊びに行ったし。許可をもらえれば日本で彼の傘やハンカチを売れると思ってね。

内田 20歳そこそこでそう思えるのがすごいと思います。常に俯瞰で捉えているというか。