在宅リハビリで起きた異変
母は半年間の入院を経て、私が事前に準備していた仮住まいのマンションで暮らすことになりました。便利な立地でバリアフリー。トイレや浴室に手すりもつけましたが、実際に暮らし始めてみるとさまざまな工夫が必要でした。
たとえば、マンションって壁が近くにない場所がたくさんあるんです。そうすると手すりがつけられない。だから、伝い歩きをしたり転びそうになった時に手を置けるように家具を配置しました。
そして車椅子生活になったら、その家具をどけて動線を広く確保する。介護しやすい家の絶対条件は、状況に応じて間取りや使い勝手を変えていけることだと思いました。
リハビリには退院後も週2回ほど通っていましたが、日数制限があるので卒業の時を迎えます。その時点で母は要介護2でしたので、在宅リハビリに切り替えなくてはならなくなる。それで母はやる気を一気に失ってしまって。
その時にわかったのは、一緒に頑張っている仲間の存在や周囲の視線が刺激となり、パワーが生み出されていたのだということでした。
リハビリのお仲間に、「市毛さんが楽しそうに頑張っているから、私も頑張ろうって思うのよ」と声をかけていただいたり。そういう環境が大事なのに、と悲しくて泣いた記憶があります。
そこで私は、母でも受け入れてもらえるスポーツ施設を探し回りました。選択肢をできるだけ増やすために、障害者手帳も申請して。でも、よさそうな施設を見つけても遠方で、私が送迎しなくてはいけなくて泣く泣く断念。結局、リハビリの環境を整えることに走り回る日々でした。