芝三田小山町、赤坂氷川町、麻布霞町・麻布笄町

<芝三田小山町>

絶滅危惧種という言葉が街並みにも指定できるならぜひこの町に。

芝三田小山(しばみたこやま)町を初めて訪れたのが平成21年。町のランドマークである小山湯はその2年前に営業を終え、町内の一部にはすでにタワマンがそびえ建つなど、人の往来はあるものの再開発感がひしひしと伝わってきました。

なぜか「芝」の冠が抜けた旧町名を発見したこともあり、それ以後も何度かこの町を訪れていました。平成28年に再開発の都市計画決定後も町の様子に変化は見られませんでした。

そして令和2年。讃岐会館が4月末に閉館する報を聞き嫌な予感がしましたが、現地の掲示板に貼られた公告を見てその予感は現実となります。

「三田小山町西地区市街地再開発組合の設立認可公告」。

ついに三田小山町の再開発が始まります。公告によると事業施行期間は令和2年9月10日から令和10年9月30日まで。

小山橋を渡ると広がる建物群、小山湯、小山湯横階段から見下ろす街並み。長年この地でお疲れさまでした。

<赤坂氷川町>

氷川神社由来の氷川町は港区の他に中野区と渋谷区。氷川を名乗った彼らとは違い、氷川未遂の旧町名も存在したのです。

根津神社や富岡八幡宮などと並ぶ、東京十社のひとつ、赤坂氷川神社が由来(写真提供:二見書房)

隣にあるのが読み方は同じで簸川神社な文京区氷川下町、町内にあるのに氷川じゃない中野区宮里町。そしてそんな彼らを横目にしれっと現町名に氷川町を採用したのが練馬区と覚えましょう。

<麻布霞町・麻布笄町>

六本木通りと外苑西通りが交わる西麻布交差点は、2つの坂の合流地点でもあります。

麻布霞町。圧倒的に美しい字面が好き。霞山稲荷神社が由来(写真提供:二見書房)
麻布笄町。絶対的に読めない字面が好き。笄川が由来(写真提供:二見書房)

六本木に伸びるのが霞坂、渋谷に伸びるのが笄(こうがい)坂。いずれの坂名も西麻布にあった旧町名です。坂と同様町域も近接し、麻布を除くと共に漢字1文字のニコイチ感。

どちらも欠けて欲しくない思いであえてセットでの紹介でした。

※本稿は、『旧町名さがしてみました in東京』(二見書房)の一部を再編集したものです。


旧町名さがしてみました in東京』(著:102so/二見書房)

かつて存在し、そして消滅した地名=旧町名の名残りをさがす異色の街歩きエッセイ!

地名は、その地を知る最大の手掛かりであり、その地の歴史、文化を反映するものです。

旧町名にまつわる歴史的・文化的エピソードを、旧町名の遺物を16年間探し求めてきた著者が撮りためてきた写真と共に紹介します。