(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が行った「令和4年 国民生活基礎調査」によると、40~69歳のがん検診受診者の割合は、過去2年間で約4~5割だそう。そのようななか、異色の医者芸人・しゅんしゅんクリニックPさんは「不調と向き合わず、健康なふりをして生活するアラフォー世代が急増している」と警鐘を鳴らします。今回は、医療とお笑いに精通した、しゅんPさんならではの健康アドバイスを自著『40歳を過ぎるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?』より、一部お届けします。

気がつけば芸人の楽屋が健康の話ばかりになっていた

四十不惑(しじゅうふわく)。40歳にもなると自分の生きてきた道に自信を持ち、迷いがなくなりました。なんてことはなく、いまだにずっと迷ってばかりの日々です。

かつての渋谷のヨシモト∞ホールは吉本の若手の登竜門として芸人たちがランキングバトルで精を出す劇場でした。しかし、今では芸歴10年を超える、若手と中堅の間にいる芸人も多数出ていて平均年齢もだいぶ上がってきた印象です。

そんな僕も40代に差しかかり、気づけば楽屋での話題が「身体」に関する話ばかりになりました。若いときにおじさんたちが言っていた“病気や健康についての話ばかりになる”は本当でした。

アラフォー中年はみんな、自分の身体の変化については人一倍繊細で敏感なくせに、病院に行くのは怖い。なぜなら絶対に何か病気が見つかるから……と、漠然とした不安を抱えています。

そんな中、医者である僕は取り急ぎの相談所として周りから何かと頼られがちです。

「健康診断で引っかかったんだけど……」
「人間ドックの数値の見方がわからなくて……」
「生活習慣病ってどんなものがある?」
「心筋梗塞って防げるの?」
「同世代の友人が入院してさ……」

僕は医者として、真面目にアドバイスをするようにしています。

というのも以前、先輩芸人から身体の不調について相談されたとき、芸人あるあるの「もしかしてボケを求められている? そうか、実力を試されているに違いない!」と思い込み、ちょっとふざけて返してみたら地獄のような空気になってしまい猛反省したことがありました。

そう、芸人としての笑いは1ミリも求められていなかった……!

まだまだ身体を張る機会の多いアラフォー芸人たちにとっての健康は、笑ってはいけない死活問題だったのです。

芸人の悪(あ)しき風習として、昔ほどではないにせよ、先輩からはおごってもらえるが誘われたら絶対に断れないという暗黙のルールがあり、不調を来すとわかっていながら深酒して睡眠不足に陥るパターンがあります。

若いときは二日酔い程度で済みますが、40代前後の芸人からは痛風や尿酸値が過剰に高くなる高尿酸血症、肝臓のお悩み相談も多くなってきました。

一方、タバコは社会的にも禁煙化が進み、加熱式電子タバコのユーザーも増えて、喫煙所でのコミュニケーションも心なしか減ってきたような気がします。

禁煙に成功してますますグルメになったり、筋トレを始められたり、身体との向き合い方を変えた芸人が少しずつ増えてきました。

『アメトーーク!』や『水曜日のダウンタウン』で禁煙企画をやるくらい、まだ愛煙家も多いですが。