孤独はどれほどのものだったか
徐々にアーティスト志向が強くなり、同期のアイドルとは一線を画した存在となったが、周囲との軋轢が生じ、理想に燃えるほど「敵」が増えていったという。
89年、明菜は恋人宅で自殺未遂する。同年末には金屏風会見が行われた。それでも明菜はメディアから消えなかったのに、一体いつから明菜はその姿を隠したのだろう?
順調に思えたデビュー当時、明菜がある「裏切り」にあっていたことが本書で明かされる。
彼女が生み出す莫大な利益に狂ったのか、狂わされたのか、どちらにしても明菜が傷ついたのは間違いない。ほかにも足を引っ張り、明菜の表現の場を奪った人がいた。
スターであり続けるには多くの人の支えがいる。
周囲に対して疑心暗鬼になった明菜の孤独はどれほどのものだったか。本書を読みながら、わたしはYouTubeにアップされている中森明菜のライブを流していた。あの歌声を、もう一度聴きたい。