疫病対策として唱えられたものとは
お経を唱えて何の役に立つのか、という疑問は、あくまで現代の私たちのもの。当時はそれが何よりの解決策だったのです。
疫病がはやったときも、法会が行われました。
疫病対策で唱えられたのは主に仁王経で、法会の名は仁王会といいました。
この経典は仏教における国王のあり方について書かれたもので、お寺の門のところで睨みをきかせる一対の仁王さまについて述べた経典ではありません。
仏になるための修業を波羅蜜といいますが、波羅蜜の最終段階である般若波羅蜜をしっかりと認識し、受け止めることで、災難を滅除し国家が安泰になると仁王経は解説しています。ですから、このお経を読むことで、大いなる災難である疫病を克服しようというのでしょうね。