79歳の誕生日

6月24日は、ピート79歳の誕生日だった。弟のデニスとブライアンを呼んで、形ばかりの誕生日パーティーを開いたところ、この晩からひどい下痢が始まった。

はじめは糖尿病患者には決して良くないケーキを口にしたせいかと思っていたが、そんな簡単なものではなかった。数日経っても治らないので、胃腸科の医者に診てもらうことにした。

(写真提供:Photo AC)

初めてタクシーに乗せて、車椅子で医者を訪ねる。医師は院内感染で「C.diff」というバクテリアに感染していたことを突き止めた。この頃のノートにわたしはこう書き留めた。

「6月28日、体重は134ポンド(60キロ)」

初めて会った30年前から肥満型だったが、結婚後も肥満はどんどん進み、一時は100キロを超えていた人である。それが半分近い60キロになっていたのはショックだった。とくに手と足の筋肉がなくなり、鳥のように痩せ、昔の面影はない。

車椅子で出かけられるようになったので、ようやく念願の眼科へ行ってみると、視力は変わっていないという。眼科医がメガネを調整してくれたので本も読めるし、コンピューターのスクリーン文字も読めるようになった。自分の机について、メールのチェックもできるようになった。次第に回復していくのが手に取るようにわかる。

退院4ヵ月後、二組の介護人を置いておくのはさすがに経済的負担が大きくなってきたので、パメラに代わってわたしがピートの隣のカウチで毎晩寝るようにした。