科学、技術、研究は日本の繁栄の土台
この研究には普通の意味での生産性、経済に役に立つ商業化の可能性があるかといえば、ありません。
KEKの方は「人類の夢のためにやっている」と説明されていましたが、こういうことにまで国家が予算を付け、威信をかけて研究している、この精神が日本を先進国たらしめたゆえんでしょう。
科学、技術、研究が日本の繁栄の土台にあるのだという信念があるのだと思います。
近年では財政難から文科省が大学の研究予算を削っていることがたびたび報道されていますが、日本には科学研究、技術開発における国際的な卓越性を決して失ってほしくありません。
私は小さいころから広島でもつくばでも父に何度となく研究室に連れて行ってもらいましたから、理系の研究者がどんな仕事をしているかはよく知っているつもりです。
私自身は1日中研究室で研究や実験をしているよりも、人と会ったり話したりするほうが向いていると思って今の外交官の仕事に行き着きましたが、父や祖父に限らず、自分の家系には科学者、研究者の類いの人が多く、論理的な思考や科学に基づいた発想は自分にもあるように感じています(実際、中学、高校時代は数学をはじめ、理系科目が好きでした)。
ですから科学やテクノロジーに携わっている人には親近感があるし、非常に尊い存在だと思っています。
※本稿は、『日本再発見』(星海社)の一部を再編集したものです。
『日本再発見』(著:ティムラズ・レジャバ/星海社)
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日本文化への深い洞察で人気を集めるティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使が、日本への思いの丈を語り尽くしました。
日本人は当たり前だと思っている、しかし世界から見るとユニークでおもしろい「日本らしさ」を再発見できる一冊です。