(写真提供:Photo AC)
観光庁の発表によると、2023年の訪日外国人旅行者数は約2507万人で、過去20年間で4番目に多かったそう。インバウンド需要が回復しつつあるなか「日本人は、多くの日本の美点を見過ごしている」と語るのは、SNSで絶大な人気を集めるティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使。ジョージア生まれ、日本育ちの大使が興味深いと感じた、日本人にとって「当たり前」の文化とは? 自著『日本再発見』より、その「日本らしさ」を一部ご紹介します。

謙虚だけど実はすごい茨城県

以前、茨城県知事からオファーをいただき、水戸(みと)で講演する機会がありました。そのとき私は茨城のすばらしさについてお話しさせていただきました。

実は私の日本生活のなかでもっとも長い時間を過ごしたのが茨城県つくば市です。小5から高3までの多感な時期を茨城県で過ごしたのです。

茨城はスポーツが盛んです。元横綱・稀勢(きせ)の里(さと)は茨城出身ですし、サッカーでは鹿島(かしま)アントラーズがありますし、社会人バスケチームも強い。政治でもたとえば衆議院議長(2023年12月時点)の額賀福志郎さんが茨城出身です。

また、言わずもがなで農産物もおいしいものがたくさんあります。

たとえば全国一の栗の産地であり、岩間(いわま)の栗はその味に惚(ほ)れ込んだ著名なパティシエが、わざわざ茨城にケーキ屋さんを開業したほどです。ほかにも江戸崎(えどさき)かぼちゃやウドなど、渋い作物に強いのです。

水がいいからお酒もおいしく、常陸野(ひたちの)ネストビールはクラフトビールとして国内外の賞を受賞しています。

自然豊かで日本で2番目に大きい湖である霞(かすみ)ヶ浦(うら)や、「西の富士、東の筑波(つくば)」と言われた名山・筑波山、紅葉の名所で日本三名瀑(めいばく)のひとつである袋田(ふくろだ)の滝もあります。とにかく魅力たっぷりな土地なのです。

にもかかわらず、やや影が薄いのが茨城です。

なぜかといえば、県民のみなさんが謙虚で恥ずかしがり屋さんが多く、あまり自己主張をしないからです。そのぶん、やさしい人ばかりです。