5月12日、大相撲夏場所が東京・両国国技館で始まりました。「荒れる春場所」のあと、今場所はどうなるのか。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

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横綱、大関、関脇が総崩れ

大相撲夏場所は5月12日に東京・両国国技館で初日をむかえたが、横綱、大関、関脇が総崩れするという衝撃の幕開けとなった。

関脇の阿炎と若元春が負け、大関陣の登場となり、カド番の霧島が前頭2枚目・豪ノ山に、貴景勝が前頭2枚目・平戸海に、琴ノ若改め琴櫻が前頭筆頭・大栄翔に敗れた。3大関ともに押し出しで負けた。いよいよ最後の大関として豊昇龍が登場した時、NHKテレビの実況の佐藤洋之アナウンサーが「上位としてはですが、ちょっとヤな雰囲気のなかで結び前の一番にやってきたわけですが…」と言ったが、正面解説の舞の海さんは「豊昇龍の性格として、自分の前に取った3大関が3連敗したことによって、かえって燃えるんじゃないですか」と予想をした。

ところが、豊昇龍は前頭筆頭・熱海富士の上手投げに敗れた。佐藤アナウンサーは透き通るような美声で「大関全滅の初日になりました!」と、予想がはずれた舞の海さんの横で叫んだ。

次に横綱・照ノ富士が新小結・大の里にすくい投げをうたれて負けてしまい、佐藤アナウンサーは「夏場所の初日、上位全滅!」「1横綱4大関、総崩れの夏場所の初日」「関脇以上総崩れという1日にもなりました」と、この波乱の事態を、言葉を変えながら伝えるはめになった。

問題なのが、上位陣の負け方が惜しいというのではなく、対戦相手にのびのびと相撲を取られてしまったところ。2日目からの上位陣の白星獲得のための立て直しに期待したい。