胸を出します王鵬、ぶつかります聖富士

5月2日の稽古総見の様子(写真提供◎しろぼしさん)

ぶつかり稽古では、「胸を出します王鵬、ぶつかります聖富士(さとるふじ)」というように、場内アナウンスが流れる。アナウンス担当は、本場所と同じく行司さんだ。

勝てば稽古を続けられる「申し合い」では、勝ち力士に指名されないと稽古ができない。そのためには勝った力士に、自己アピールしなくてはならないので、勝ち力士の前に力士たちが集まる。対戦相手はくるくる変わるので、「東方(ひがしがた)かわって大関・霧島」、「西方(にしがた)かわって明生」というように場内アナウンスがあるので、ありがたかった。

私の周りにいる人たちの会話が聞こえてきた。正代がぶつかり稽古に胸を出したときは、「正代だ、正代だ」と喜んで手を叩き、貴景勝が首を気にした様子を心配し、積極的に稽古しようとする王鵬の姿に「本場所では引いちゃうんだよな、残念だよ」と話している。

琴ノ若の登場の時は、横綱だった祖父の四股名である「琴櫻」でアナウンスがあった。本場所よりも早く、50年ぶりに「琴櫻」の四股名を聞き、ものすごい得をした気持ちになり感激。

そばにいた人たちに「大相撲のどこが好きですか?」と聞いたら、「それが分かんないんですよ。なんかいいんですよ」とのことだった。そう、力士たちのいる風景は、なんかいいのだ。

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