耳の構造を確認しておこう

耳のなかは、体の外側に近いところから順に、外耳(がいじ)、中耳(ちゅうじ)、内耳(ないじ)という3つのパーツから構成されています(下図参照)。

<『フワフワするめまいを治す最強の食事術 名医が教える新しいめまい撃退法』より>

外耳は耳の穴から鼓膜(こまく)まで、中耳は鼓膜の手前から内耳の手前まで、内耳はそれより奥の部分になります。

内耳は、めまいと関係の深い器官で、ここには鼓膜から伝わった音の振動を電気信号に変える蝸牛(かぎゅう)と、体のバランスを感じ取る三半規管(さんはんきかん)と耳石器(じせきき)があります。

三半規管には、前半規管、後半規管、外側半規管という3つの半円形の管(くだ)があり、前半規管と後半規管は垂直方向の回転運動を、外側半規管は左右の水平方向の回転運動を感じ取ります。

三半規管のなかはリンパ液で満たされており、その流れ方によって、3つの管のなかの感覚細胞が、頭がどのような速さで、どの方向に動いているかという情報をキャッチしているのです。

一方、耳石器の中には、平衡砂(へいこうさ)という炭酸カルシウムの結晶(これがいわゆる「耳石(じせき)」)が入っており、体が傾いたり、重力がかかったりして平衡砂が動くと、その動き方を感覚細胞が感じ取って、体の傾きや直線運動をキャッチしています。

めまいというとき、多くの人が思い浮かべる回転性のめまいは、ここの内耳の障害によって起こります。

内耳が原因で起こるめまいには、主に、メニエール病、前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)、良性発作性頭位(とうい)めまい症(BPPV:Benign paroxysmal postural vertigo)があります。

3つの主要なめまいの原因について、簡単に解説しておきましょう。

(1)メニエール病:内耳の水腫(すいしゅ)(内リンパ水腫)によって起こる。回転性の強いめまいが2~3時間続く。片側の耳鳴りや難聴を伴う

(2)前庭神経炎:ウイルス説もあるが、原因は不明とされる。回転性の激しいめまいが数日続く。強い吐き気や嘔吐(おうと)があり、5日程度の入院が必要になるケースが多い。耳鳴り、難聴を伴わない

(3)良性発作性頭位めまい症:加齢などの原因により、耳石器の耳石がはがれて起こる。回転性のめまいが、数秒から長くて1分程度続く。耳鳴り、難聴を伴わない。嘔吐はほとんどない

ここで知っておいてもらいたいポイントは、めまいを引き起こす原因は、実はこれらの内耳による障害だけではないという点です。