夫の存在に助けられている

それは彼が奏でるヴィオラという楽器も同じです。ヴィオラは決して主役じゃない。ヴァイオリンやチェロが華やかな主旋律を弾いているときに、ンパ、ンパって伴奏している楽器ですからね。

そんなふうに、演奏者でありながら、オーケストラ全体をマネージメントする仕事もしている夫と結婚したことは、私にとって大きなプラスになりました。

家で日常会話をしていてもアートに関する様々な話題が上るので、彼と出会っていなかったら知りえなかった舞台裏の様子を知ることができたり、「マーラーは、実はウィーンでは嫌われ者だったので、バーンスタインが再び取り上げるまで、彼の曲はずっと演奏されなかった」などという作曲家の秘話を教えてもらえることも。

ドイツ人なので、言いたいことはオブラートに包まずなんでもはっきり言うので、彼の言葉が心にグサグサ刺さるときもありますけれど(笑)、公私ともども、夫の存在にはやはり助けられていると思います。