ベトナムで再会して
フエの空港に降り立ち、ご夫婦に会った時、空白の4年間が一瞬で戻った。ご自宅や別荘に招待され、街を案内され、さらにはちょうど私が76歳の誕生日を迎えた日、ハッピーバースデーの歌と髪飾りのプレゼントというサプライズも。
施設の子どもたちの入学式の日はフォーマルなアオザイを貸してもらい、一緒に保護者席に座らせていただいた。
なつかしい人たちと過ごした10日間、工作をしたり、日本食を作ったり。途中1泊でダナンの小学校にボランティアで行くことになった際には、列車の切符を手配し、忙しいなか見送ってもらった。
誰がここまでしてくれるだろうか。ダナンからフエに帰った夕方、4年前は暴力の問題を抱えていた10歳の自閉症の子が近づいてきて、「おかえりなさい」と言うように優しい笑顔でハグしてきた。彼はこんな表現方法を覚えたのか、と感激した。
私は何の貢献をしたわけでもない。滞在中、どうしてこれほどよくしてくれるのか、と手を合わせながら過ごした。ありえないくらいの幸せな体験だった。