時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは京都府の70代の方からのお便り。まだ子どもが小さかったころ、買い物に家族で行くと、会計前に行うある習慣があったそうで――。
買い物は「検査」しよう
先日、近所のスーパーへ買い物に行った時のこと。3歳くらいの孫とおばあちゃんとすれ違いました。若いお母さんは別の売り場で品物を選ぶのに夢中。おばあちゃんは、孫を見る係として連れて来られた様子です。
「あれ買う、これ買う」と、ちょこまかと動き回る孫を、「家にあるから要らないでしょ」などと言いながら追いかけます。あれでは帰ったらヘトヘトだわ、と思いながら、昔のことを思い出しました。
わが家は自営業で田舎暮らし。買い物は大抵、私、夫、娘の3人で行っていたのですが、お会計前に行う習慣がありました。まずは全員がそれぞれ買いたいものを、2つのかごに入れていきます。それが一杯になったら店の隅へ移動して、本当に必要なものかどうか、全員で検討するのです。わが家ではこれを「検査」と呼んでいました。
娘が5、6歳の頃のある日。私の母と娘の2人でスーパーへ買い物へ行きました。母は孫娘がかわいいので、たくさんお菓子を買ってやりたくなり、すぐにかごがいっぱいに。すると娘が母を隅のほうへ連れて行き、「検査」を始めたのです。
ああでもない、こうでもないと言いながら品物を減らし、本当に欲しいものだけを買ってもらって帰って来ました。母はとてもびっくりして、何度もこの話をしていたものです。
娘とはよく喧嘩しましたが、お金に関しては一度も心配したことがありません。「検査」の効果があったのかな。