夏夫くんとお母さんはいつまで隠れるようにしていればいいか。
どうやったら、もう何も起こらないだろうから安心だ、っていうのがわかるのかが、わからない。
悟くんの家では本当にいつまででもいてもいいし、何だったらこのままここに住んでもいいから、なんてお祖父(じい)ちゃんお祖母(ばあ)ちゃんは言ってるって。家族が増えたみたいで嬉(うれ)しいんだって。
東京にいる悟くんのお母さんにも一応連絡は入れたけど、全然構わないって。できるだけ力になってやりなさい、って言っていたらしい。
悟くんのお母さんは、自分で産んだ我が子を育てていないというか、育てることができないって自分で言ってるちょっと不思議というか謎の人だけど、その他の点ではものすごくいい人みたいなんだ。
僕らには何もできない。
何かしてあげられないかって考えたけど、何もないんだ。
夏夫くんには、何か必要なものがあったり、僕らにできることがあったらいつでも何でも言ってくれって伝えてあるけど、たぶんそういうものは、そういうことは悟くんの方で用意してるし、できるだろうし。
殺された長坂康二(ながさかこうじ)さんの友人でガソリンスタンドの店長さんもすぐ隣りにいて、今後のことでいろいろと手を尽くしているらしいし。
できることがあるなら、したいんだけど、何もない。
でも、思いついたんだ。