「実は、そうなんです」
「何で? 何で三四郎がそんなこと知りたいんだ?」
「詳しくはちょっと話せないんですけど、もちろん僕はその殺された組長さんとかに会ったこともないしまったく関係もないんですけど、でも、ちょっとだけ、その、関係みたいなものはあるんです」
「何だいそれは?」
わからないですよね。
変な表現をしてるっていうのはわかってるけど。
「話せないんですけど、でも、変なことじゃなくて、大事な人が困っているんです。その困っているのをなんとか助けてあげたいんですけれど、ひょっとしたら」
「元ヤクザの親分だったら、その大事な人を助けられる方法がわかるかもしれない、あるいは何か知ってるかもしれないってこと?」
「そうなんです」
全然関係ないかもしれない。
元ヤクザの親分でも何にも知らないかもしれないし、知っていてもどうにもできないかもしれないけれど。話だけでも聞けないだろうかって考えた。
今の夏夫くんとお母さんの苦しい状況を打破できるような情報とか、方法とかを。
ふぅん、って感じで小さく頷いて、三公さんは僕を見ている。
「まぁ察するに三四郎の親しい人が、あの事件のせいでいろいろと迷惑を被っているんだな? それをなんとかしてあげたいんだけど、もしも解決できるとしたら本当にヤクザさんに近しい人だろうって考えたわけだな? それで西森さんのことを思い出した、ってことか?」
「そうなんです」
今度はうーん、って唸(うな)って三公さんは腕を組んだ。