「おじいさん?」

 バイト中に、三公さんに訊いてみた。

「あの野球の上手いおじいさんって、連絡取れるんでしょうか」

 毎週一回は来ていたように思ったけど、ここ最近は来ていないんだ。三公さんは、ちょっと首を傾(かし)げた。

「おじいさんは、西森(にしもり)さんだな」

「西森さん」

 名前を初めて知った。

「西森、茂二朗(しげじろう)さんだったかな。自宅の場所はわかるし、電話番号もまぁ住所から調べればすぐにわかるけれど、なんで?」

「会いたいんです」

 三公さんが、ちょっと不思議そうな顔をして、僕を見る。

「また何か教えてほしいとか? それなら、そのうちに来たときに訊けばいいだけの話だぞ」

「あ、でも今週は来ていなかったし」

 あー、って少し考えた。

「そういえば今週はまだ来ていなかったか。でも、縁起でもないけどお亡くなりになったのならすぐにわかるだろうし」

「わかるんですか?」

 三公さんがちょっと肩を竦(すく)めてみせた。

「いろいろとね。たぶんすぐわかるんだよある意味では有名人だから」

 そうなのか。新聞のお悔み欄とかに大きく出るんだろうか。そういうのは見たことあるけれど。