すべてが上手くかみ合った「SMAP 5人旅」
彼らには旅の当日にサプライズで今から出発する旨を伝えましたが、100%行き当たりばったりでは安全なロケができません。スタッフは彼らの行動を先読みして、出演しているCMへの配慮を含め、できる限りの準備をしておく必要がありました。
「SMAPは今セブンイレブンのCMに出ているから、コンビニに寄る際はセブンイレブンに行くはず。あらかじめ彼らが車で通りそうな店舗に旅行雑誌を置いておこう」「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)にも行くだろうから、旅行雑誌のそのページの記事を差し替えて、広報直通の電話番号を明記しておこう。そして開いてほしいページには開き癖をつけておこう」等々。
食事についても同様です。スタッフが事前に撮影可能な店を何軒か下見して、ここぞと思う店にスタッフの名前で予約。もしも5人が違う店を選んだ場合は、店に迷惑をかけないようスタッフが食事をするという流れです。
結果、彼らはその店に立ち寄り、お好み焼きや生姜焼き定食といったメニューを楽しんでいました。彼らのリアクションはとても自然なものでしたが、実はこういう画を撮るのはものすごくハードルが高いんです。なぜなら人は、カメラが回っているとついつい過剰に反応してしまうものだから。
でも彼らは見事にやり遂げてくれて、2時間スペシャルの「SMAP 5人旅」は視聴率20%を超える神回となりました。
テレビ関係者からは、いまだに「うちでも5人旅みたいな企画をやりたいんだけど」とよく言われます。でも、うまくいかないんですよね。あの企画を成功させるには、タレントの老若男女を問わない知名度とメンバーの絶妙な関係性、そしてスタッフの並々ならぬ熱量が必要になりますから。「SMAP 5人旅」はそのすべてが揃った、稀有な成功例だったと思います。