「老後2000万円」問題に欠けている視点

昨今の物価上昇などを考えると、日本人の平均寿命、男性が約81歳、女性が約87歳まで生きるには3000万円くらいは必要なように思います。

そのうえ、マネタリーベース(日本銀行が世の中に直接的に供給するお金)の拡大によって、さらなる物価高騰も予想されます。
3000万円、いえ3500万円あっても不安が解消されることはないでしょう。

しかし、この「老後2000万円」問題には見事に欠けている視点があります。
政府が投資を推奨し、新NISA制度も施行されたというのに、「老後に資産を運用する」という前提がないのです。

「2000万円」という貯蓄を、いわゆる「切り崩す」前提でしか試算していません。
だとすれば、2000万円あっても、3000万円あっても、不安が消えるわけはないのです。

銀行にただお金を置いておけば、インフレの下ではお金の価値はどんどん下がっていきます。
 

人生100年時代、「どういう人生を送りたいか」を考える(写真提供:Photo AC)

対してお金を働かせていけば、65歳時点で3000万円あれば十分だと私は考えています。

「いやいや、2000万円でも難しいのに3000万円なんて」という声が聞こえてきそうですが、50代からお金を「働かせて」いけば十分実現可能です。