すぐ文句を言う母、長兄とその妻にも不満

母も頭痛の種です。すぐに真紀子さんを頼るくせに、何をしても文句を言います。

母は3年前、庭仕事中に、ほんの1、2センチの段差につまずいたらしく、倒れました。それで足の甲を骨折。要支援1に認定され、階段には手すりをつけました。かつては地域の体操教室やカラオケなどによく出掛けていた母ですが、思うように歩けなくなって以来、外出をおっくうがるように。週に1度のデイケアに行く程度です。以前は2階の寝室で寝ていましたが、骨折後は階段を上がるのが難しくなり、1階の部屋で寝るようになりました。でも、真紀子さんと姉が遅くまで起きてテレビを見たりする生活音がうるさくて、なかなか寝付けない、と母は文句を言っています。

1階で休む母の寝室にと、以前の祖父母の部屋をリフォームする予定です。その工事も、母がうんと言わないせいで進みません。いまは物置状態で、長兄からは早く荷物をどけろと言われますが、まだリフォームのめどすらついていないのです。リフォームは、汚れた壁紙を貼り替えて、畳をフローリングにするもの。真紀子さんが業者を探して見積もりを取りました。でも母は「高い」と文句を言って、そのまま放置しています。

庭木の手入れもです。長年頼んでいた庭師さんが最近亡くなりました。母から誰か探して、と言われ、真紀子さんが業者を探しました。見積もりを取ったら、やはり母は「高い」と文句を言います。もともとやってくれていた庭師さんが安すぎたのに、母が納得しないため、そのままです。母は、都合の悪いこと、気にくわないことは、無視します。「お兄ちゃんが言えば、お母さんは言うことを聞くかもしれないけど」と、真紀子さんは怒り半分、諦め半分です。

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本当は、真紀子さんが一番頭にきているのは、隣に住んでいる長兄とその妻(68)の、母への関わり方かもしれません。隣にいるのだから、もっと、こっちの家にも顔を出してくれてもいいのに、と真紀子さんは本音では思います。すでに兄も退職し、兄夫婦の子も就職して家を出ています。母に関わるだけの時間的、精神的な余裕は、彼らにもありそうです。

でも、兄嫁は実家のことにはノータッチ。全然、母の面倒をみてくれません。もし今後、母が寝たきりにでもなったらどうするのかと思います。そうなったら、さすがに兄嫁も無視できずに、面倒をみてくれるようになるのでしょうか。

時々は、兄夫婦は母と一緒に旅行に行っているようですし、母の病院への車での送迎は兄がしています。でも、日常的には、同居の娘2人だけに、母の世話係は担わされています。「兄嫁が、もう少し母のことを見てくれてもいいのに」。真紀子さんたちの家に食事に来たりしないんですか?「来ませんね。あっちに母が行くことはあっても、兄嫁がこっちに来ることはない。母の食事の世話も手伝ってはくれません。だから、どれだけ大変なのかも、きっと全然分かってないでしょう」