明子の役柄は六条御息所をヒントに

ただし、道長のもう1人の妻、瀧内公美さん演じる源明子には、六条御息所を思わせるところがありました。

実は、瀧内さんが、最初に制作スタッフから渡された役柄説明には「『源氏物語』の六条御息所のようなキャラクター」と書いてあったとか。そこで、それをヒントに演じ方を考えたのだそうです。

言われてみればなるほどで、凛とした明子が、義理の父である兼家(段田安則)を呪詛するシーンには鬼気迫るものがありました。

とはいえ、本人も気がつかないうちに葵の上を呪い殺してしまった六条御息所に対して、明子は自分の意志で呪詛しています。一族の仇である兼家が亡くなると、まさに、つきものが落ちたように穏やかになるなど、六条御息所とは違う点もあるように感じます。

「殿にもいつか、明子なしには生きられぬと言わせてみせます」と迫るなど、道長への執着はちょっと怖いほどなので、今後、まひろに激しく嫉妬して、生霊となる展開が待っているのかもしれませんが……。

六条御息所と聞いて、私の脳内にまず浮かぶのは、大和和紀さんの名作漫画『あさきゆめみし』に描かれたキャラクターです。あのビジュアルが「自分にとっての六条御息所のイメージだ」と感じている人は多いのでは?『あさきゆめみし』は、現代版「源氏物語絵巻」といえると思います。