中には、富士山そのものが写っていない写真もあった。

富士山麓の滝で滝行をする自分を被写体にした作品や、本州で最も遠くから富士山が見えるとされる和歌山の那智の滝を撮った作品、樹海にいる小さな生き物をとらえた作品まで、テーマの捉え方はさまざま。

富士山付近の人々の営みを撮影した数百枚の写真をコラージュし、巨大な山を表現した作品に対して、太田さんは「文化は、他者を認知しながら社会全体の人がつくる。日本を感じる〈ワンネス〉を緻密に執拗に表現している写真家が日本人から出たのはすごい」とコメント。

トップモデルでありながら「男性の好きな女性ばかりの写真」に疑問を感じ、自ら撮り始めたという85歳の外国人女性の作品も。富士山の神様は「木花咲耶姫」という女神のため、女性が山に入ると天気が荒れると言われており、彼女の来日時にもやはり悪天候だったが、敢えてその状態で撮影したという。