「温熱」「浸透」について

まず「温熱」ですが、肌に伝わる熱は対流と放射の2つがあり、対流とはお湯が直接肌に接触して表面から伝わるケースです。家庭での入浴はほとんどすべてがこの対流熱です。

放射は遠赤外線に代表されるように岩石などの物質から放射される熱です。電磁波として肌の内部まで浸透して伝わります。

(写真提供:Photo AC)

ただし、遠赤外線が肌に浸透するのはせいぜい0.2mm程度で、すぐに熱に変わり、血液を通して全身に伝わっていきます。

骨まで浸透して芯まで温まっているわけではありません。

家庭の浴槽は金属やうすいプラスチックなので遠赤外線の放射量が少なく、その恩恵を受けることができませんが、温泉地の岩風呂では岩石からの遠赤外線を浴びることができるため、対流熱と放射熱の両方で体が温まります。

特に頭を冷やしながら長時間温まることのできる露天風呂や岩盤浴は、温熱効果を得るにはとても理に適っています。

温熱によって筋肉や肌の代謝の促進はもとより、時間をかけてゆっくりやさしく古い皮脂を溶かし、角質を柔らかくすることができます。

次に、ひとつ飛ばして「浸透」についてですが、温熱効果によって柔らかくなった皮膚と、古い皮脂が溶解して開いた毛穴から、様々な成分が浸透したり排出されたりします。

その成分とは主にミネラルなどのイオンであり、温泉の効能の多くはカリウムイオンや炭酸水素イオンの吸収や働きによるものです。