【佐藤家女三代の年賀状アルバム】日本に続く由緒正しき新年のご挨拶も、大作家が本気を出せば……

響子 準備だって大変だよ。8月に北海道の別荘へ行くときに撮ることも多かったから、それまでに「何をやろうか」ってテーマを決める。

桃子 小道具も用意して。当日は特殊メイクに始まり、撮影が終わるまでに4時間くらいかけてさ。

響子 100円ショップで買ってきたメイク道具で工夫しながら、お化けとか、ヤマンバギャルに仕上げる。

桃子 人が来るとみんなで逃げたよね。北海道のだだっぴろい牧草地は隠れる場所がないから、家まで走って。

響子 さすがに見られたらまずいでしょ。80を超えたばあさんが、ヤマンバギャルの格好してるんだよ。でも思春期の頃は、あんたもさすがにやる気がなかったね。

桃子 でも、おばあちゃんは赤ちゃんの格好で、「ベエベエ!」「ほら、こんなふうにするんだ!」って怒る。当時、私は演劇をやっていたから、プロ根性で乗り切ったけれど。

響子 撮り終えた後はへとへとだったよ。さらに、できあがった写真に対しても、おばあちゃんからダメ出しが入る。

桃子 「あぁ、ここで茶碗を転がしておけばよかった……」とか。

響子 私は撮影と監督を兼ねてたから、いろいろと演出もしたけど。おばあちゃんなりのこだわりがあったみたい。