【佐藤家女三代の年賀状アルバム】日本に続く由緒正しき新年のご挨拶も、大作家が本気を出せば……

汽車のような勢いで

桃子 私、おばあちゃんとお母さんのノリについていけないこともあったな。「幽霊の手はこうだ」「いや、こうだ」とか2人でやってたけど、違いがわからない。

響子 おばあちゃんと私の間には、独特の呼吸みたいなものがあるからね。昔、おばあちゃんがものを書いているときに、私がいきなり、「愛とは何ですか?」って聞いたことがあって。

桃子 何それ。

響子 そうしたらおばあちゃんは、「『何ですか』とは何ですか?」って。それに対して私は「『何ですかとは何ですか?』とは何ですか?」ってね。変わりもの同士が一緒になって、独特の空気というか、ハーモニーが生み出されていた。

桃子 2人が鍋の中でぐつぐつ煮込まれて、ものすごく煮詰まってる、そんな感じだったよ。私がその中に入っても、ついていけなかったし、孤独に感じることもあった。

響子 あんたは生まれたときから私たちに巻き込まれているけど、質が違うかもね。