「そいつは大物だな……」
「年齢は五十六歳。当然、幹部の中では若い」
「それが何で宗教法人ブローカーなんてやってるんだ?」
「直参ともなれば、上納金も半端ねえだろう。シノギがたいへんなんじゃないのか?」
「『関西』はしっかりとしたピラミッド構造じゃねえか。その高森自身が上納金をもらう立場だろう」
 一次団体は、二次団体から上納金を取り、二次団体は三次団体から取る。三次団体は四次団体から……。
 阿岐本が言ったピラミッド構造というのはそういうことだ。
「だから、その下部団体のシノギがきついわけだ。暴対法やら排除条例やらでがんじがらめだからな」
「宗教法人ブローカーなんてやったら、高森はそれこそ暴対法や排除条例でパクられるんじゃないのか?」
「表には顔を出さないんだろう」
「なるほど……。だから、原磯が必要なわけだな」
「すいません」
 日村は言った。阿岐本が聞き返す。
「何だ?」
「健一たちに、伊勢元町に調べに行かせました。万が一、高森の手下などと接触したら……」
 阿岐本が即座に言った。
「すぐに呼び戻せ」
「はい。失礼します」
 日村は席を立ち、部屋を出た。